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【後編】いま、生活期リハでは何が起きているのか?

前回からの続き▶︎前編

今回は九州、熊本のEMIAS(エミアス)グループ、法人統括部長の山口さんにインタビューしました。

テーマは生活期リハの現状と課題についてです。私が考える生活期リハの課題は3点あることをお伝えしました。①対象者が幅広い②地域で活躍する療法士が少ない③クオリティの問題です。

今回は②および③を中心にお話していきます。

 

②地域で活躍する療法士が少ない

公益社団法人日本理学療法士協会が出している情報によると、在籍先の8割が病院診療所等、デイや訪問リハといった生活期リハにはたった1割しか在籍していないとされています。対象者は増加し幅も広がっているにも関わらず、担い手が非常に少ないため、活躍のチャンスは大いにあると言えます。

では、なぜ地域で活躍する療法士が少なくこれまでも増えてこなかったのでしょう。それはマネジメントや教育の土壌が乏しいからではないかと考えています。全ての職場が当てはまるとは限りませんが、1人職場や2~3人の少数組織、しかも何年も顔ぶれが変わらない。つまり業務の属人化が発生しているところが多いのではないでしょうか。これまでは、属人化していてもある程度の経験者が担うため、個人の腕っぷしでどうにかなっていたのかもしれません。

 

しかし、近年では新卒で生活期を志すセラピストが増えてきているため、多くの人材が活躍できるための教育体制の基盤が必要で、業務の標準化やマネジメントスキルが求められていると感じています。

※EMIASグループの教育に対する取り組み https://1post.jp/5058

③クオリティの問題

生活期の分野で感じることとして「クオリティで勝負しご利用者が自然と集まる事業所」と「サービス内容はマンネリ化、法人内の抱え込み等で運営できている事業所」の二極化が進んでいることです。特に近年はコロナ渦の影響もあり、経営不振で閉鎖する事業所が増加しており、このままでは間違いなく後者の事業所は淘汰されていくと思われます。

クオリティを追求する上で、私自身や仲間たちに以下の2つの問いかけを繰り返し行うようにしています。

1つ目は「自分の大切な家族に利用してもらいたいと心から思えるか?」です。少しでもこの問いに後ろめたさがあるのであれば、療法士として少し悲しいことです。

2つ目は「ワクワク楽しめる仕事(職場)なのか?」利他の精神はもちろん重要ですが、まずは自分自身の気持ちが乗っていないと、仕事のクオリティがついてこないと思います。気付かぬうちに仕事のマンネリ化に陥っている方は意外と多く、ワクワクしない仕事をただこなすだけになっている人をよくみかけます。

生活期の療法士でこのような方に出会ったことはないでしょうか。

・なんとなく全てのご利用者にストレッチとお尻上げ運動

・リハ専門職としてエビデンスや知識追求を捨てている人

・サロンや体操教室でいつも同じ体操ばかりで盛り上がらない

このように思考停止し、クオリティを上げていくことを放棄している人に出会ったことがあると思います。やる気の低い療法士がいる事業所を自分の家族に利用させたいですか?世の中、そして自分の大切な人の為にも、クオリティを上げていく意識が生活期や介護保険サービスにはより一層必要になると感じています。

最後に

生活期リハはまだまだ可能性のある分野だと思っています。以下のように、さまざまな働き方があり地域からのニーズも多くあります。

私自身、お世話になった地元地域への恩返しとしてやりがいを持って働くことができています。病院勤務時代以上に多職種と連携しながら、多くのご利用者(患者)に貢献できている感覚もあります。やはり療法士の仕事はよい仕事だと思っているので、同じような志の仲間が今後増えていくことが今一番のモチベーションです。